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優秀な人材が集まる「性格のいい会社」は作れる!ーー今なぜ、経営にカルチャーデザインが必要なのか?

これまで4回にわたり、ミライフの経営スタイルや、組織崩壊から編み直してきたカルチャーデザインについて公開してきました。

1回:絵で会社を語ろう〜ミライフビジョンアート〜
2回:理想を追ったら全員退職。組織崩壊からのカルチャーデザイン
3回:この絵誰が描いたの?製作者が語るアナザーストーリー
4回:ミライフ流カルチャーデザインのノウハウ全部教えます

本記事が最終回です。組織作りや組織活性に課題を感じている方にはぜひ読んでいただきたいです。
今回はミライフCEOのスケさん(佐藤ユウスケ)と、COOのみほさん(森数美保)にミライフのカルチャーデザインについてインタビューしてみました。

 

ーーミライフビジョンアートをベースに過去と現在を振り返ってきましたが、どうでしたか?

スケさん
とても面白かったです。僕が言ってることは創業時から変わっていないんだけど、当時はまだ実態がなかった。理想と現実のGAPから組織崩壊を経験したり、今はうまくいっていたり…なんなんだろうと(笑)

今回改めて振り返って、1回大失敗していることが、今のミライフを作っていると本当に思えるようになりました。組織崩壊の話は前回の記事にも書いたけど、僕としては恥ずかしい話なんです。

でも、みんなが「あの記事を読んで安心した」と言ってくれて。失敗が価値になるってことを改めて今回感じました。あの失敗によって、ミライフのカルチャー(ビジョンアートの土壌)は作られているんだって思います。

あと、「生態系生態系」と最初からずっと言ってきたけど、ミライフの生態系を1枚の絵で表現できたこと、絵をみんなに見てもらって、その絵の意味を共有出来たことに感動しました。

みほさん
ミライフの生態系を表現するのは、絵じゃなかったら無理でしたよね。

スケさん
そうですね~。生態系とか中長期視点、短期業績追わないとか、言葉ではずっと言ってるんだけど、それが絵になると全てが繋がっていることがわかった。あと、ケンスケ(ミライフビジョンアート製作者)も言ってくれたんだけど、あれだけ一貫と循環を絵で表現できることはないんだろうなと。

みほさん
確かに。ここは繋がってるけどこっちは道がないとか、絶対ありえますもんね。

スケさん
そうそう。絵を描いていくことで、逆に足りないパーツに気づくとか。それが本来自然なのかもしれない。ある種、この絵がこの状態で完成というか、けっこう綺麗になっちゃっているというのは、それはそれで課題感かも。今はまだ、ここにない枝(事業)が出てくるとか、これから意図的にやっていけるといいのかなと思った。

ミライフ_ビジョンアート(詳細解説版)_樹_色付き-1

ーー会社情報の一つとして「絵」があるのは斬新ですね。ビジョンアートにも表現されていますが、ミライフは事業が循環していることで、到達できる場所に広がりがあるように思います。 

スケさん
事業を循環させることは意図的にやってきたんだけど、「何のために生態系をやるのか」については僕自身も上手く言葉にできていなかった。今回、ビジョンアート製作に向けて、ケンスケと議論していく中で「矛盾と向き合うため」という理由が明確になったのが発見だった。

あと、大事にしているのは「事業と組織は両輪」であるということ。成長しようとすると、短期で売上伸ばすぞ!となる。そうすると組織がついてこない。逆に、組織に過度に敏感になり過ぎると、今度は事業が伸びない。

大切なことは両輪をバランスよく回すことなんだけど、このバランスが悪い会社が多すぎるなと。急がば回れで、この両輪をバランスよく大きくしていくことが大事だし、これぞ経営だって思う。

これをミライフで実現できている理由は、やっぱり、ミライフのメンバーが優秀なんだと思います。つまり「採用」がポイントですね。

ミライフでは、本業のエージェントでビジネスを成立させながら、兼務プロジェクトで新しいことをしています。言葉にすると楽しいけれど、実際は大変だし、かなり難易度高い。それをみんなが楽しんでやってくれていることで循環に効いている

この兼務プロジェクトは、短期業績にはつながらないし、生産性も落ちる。

だけど、みんなにとっての成長になり、働きがいになり、ワクワクや刺激に繋がる。そこに魅力を感じて、また優秀な人がミライフにやってきてくれるという、本当にいい循環ができているなと思います。ミライフが単に利益だけを追求するエージェントだったら、ミホさんや、みんなは入社してくれなかっただろうなと。

不思議ですよね。「短期じゃなくて長期」だったり、「選択と集中」と世の中が言っている中で、色々やろうよと。世の中の逆をいくことを、循環という言葉でごまかしているのかもしれないですけど(笑)

循環という言葉を掲げたことで、面白いと思ってミライフに優秀な人が来てくれる。結果として、その「人」が循環を生み出す起点になっていると思います。

ーー兼務プロジェクトで、個人がワクワクできるっていいですね。一方で、なかなか難しそうだなとも思うのですが…。

みほさん
確かにバランスは難しいですよね。スケさんがプロジェクトは文化祭のようなものって表現しているんだけど。

スケさん
工夫としては兼務に関してはマイナス評価はしないということです。チャレンジして上手くいけばプラス評価ができるかもしれないけど、できなかったからといって評価下げることもしない。つまり、プラス評価しかないので、やったもん勝ちみたいなところがあるかもしれませんね(笑)

僕はいろんな人の辞めるシーンを見てきているし、人がやる気を無くす瞬間をわかっている。人事制度に対する知識もあるからこそ、どう報酬設計したら良いのかとかある程度わかってやっています。大人げないっちゃ大人げないですよね(笑)

みほさん
私はもうちょっとピュアな気持ちでやってますよ(笑)

スケさんがいつも言ってる「足し算も大事なんだけど、重石になるようなものを引き算するだけでも組織はよくなる」の考え方は面白いなといつも思っています。

前職はBPO事業だったので、効率重視の大量生産、分業モデルでした。会社にとっては生産性が高くていいんですが、働く人は飽きるし、一部の業務だけを続けていることでキャリア形成が不安になる。それを理由に辞めていくんです。そういう事業モデルだし仕方ないという考え方もあるんですが、私はイヤだったんです。

個人のキャリアを強くすることに寄与する事業や組織でありたいと思ったから、「生産性だけではなく、個人のキャリアも重視する!と宣言して組織体制を変えました。「重石になるようなものを引き算する」ってそういうことなのかな。

スケさん
まさにそうですよね。足し算から考えるのではなく、引き算から考える。

ーーミライフは「組織は戦略に従う」ではなく、「戦略は組織に従う」ということを大事にされていると伺いました  

スケさん
僕はリクルートで、マネジメントも経験し、人事として経営にも関わるようになり、MBAもとっちゃいました。どう考えても「組織は戦略に従う人」ですよね(笑)

会社の戦略があって、それを人事戦略に落としこんで、要員計画に落として…それを人事として実行してきたという経験をしてきました。結論、これが嫌だったんですよ。

人のキャリアとか人の想いとかより、会社の意向で人を動かすみたいなことをやらざるを得なかったというか……やってきた。リクルートはドンドン成長しているから、戦略としては間違いじゃないんです。

ただ、自分が人事として、仲間と向き合ってきた中でいくと、戦略に従って自分の意志もなく仕事していくことに対して、違和感しかなくて。みんなの能力を活かしている感じがしないなと葛藤していましたね。もっと、現場や社員の能力を信じたり、自主性を引き出した方が上手くいくのではないかとずっと思っていました。

だからこそミライフを創る時は、個人の能力や人を信じるところから会社を創りたいなと。「組織は戦略に従う」を逆転させて「戦略は組織に従う」という考え方を置いた。これは人・組織を起点に戦略が決まってくるということであり、いるメンバーで、最大限の価値を出すということです。

新しい人が入ってくると、その人ができることがあるので、得意なことをやってもらう。いろんな人が増えてきている中で、会社としての強さが増したり、事業の循環を作れるようになってきた。もちろん、短期業績を上げるんだったら、スナイパーみたいな売上を上げるエージェントだけを採用して、型にはめてKPIを張って回せばいいんだろうけど…。

当然それをやるならリクルートでやればよかったので、ミライフはそうじゃないやり方でどこまでやれるかチャレンジしています。

 

ーー実際に「戦略は組織に従う」経営はどうでしょう?

スケさん
結論、苦しいなって感じています(笑)
理想を追いながら、売上を上げるって難しい。ただ売上を上げるだけなら、もっと簡単な方法があることを分かっていながら、このやり方を妥協せず、もがいている感じですかね。

「戦略は組織に従う」が多くの会社でできないのは、難しいし、このやり方だと簡単には売上が上がらないから。これでコントロールする経営って本当に難しいなと、自分でやりながら痛感しています。だから今、ミライフも「戦略は組織に従う」が完璧にできているとは言えない、目指しているとは言えるけど。

ただ、毎年利益を出すことはできていたり、みんながご機嫌に働いて、事業としてお客さんに価値を出せているというところまではきたので、6年7年かかってようやく「戦略は組織に従う」と、言えるようになったかなというところです。

みほさん
「戦略は組織に従う」は、スケさんが一番大事にしている価値観ですよね。そこを譲らずどこまで行けるかに私も一緒にチャレンジしたいなって思います。あとは、スケさんが人事やキャリアデザイナーとして、死ぬほど人に会ってきていて、「こういう人は、こういうところで力を発揮する人」ってことを知っているからできるというのもありますよね。

スケさん
これは本当に伝統芸能というか…。

みほさん
スキルをベースにしたタレントマネジメントはやり易いじゃないですか?事実ベースやスキルベースで、その人がやれることを判断する。そうじゃない次元で、事業と組織を紐つけてやろうとしているのがミライフで、そりゃ難しいよねって思うんですよ(笑)

スケさん
僕が意識的にやっているところがあって、「立体」という考え方なんです。今の人・組織状態を「平面」だとすると、3年後、5年後とかに、メンバーみんな成長しているじゃないですか。成長していった時の状態を立体的に見ているんです。だから、今のスキルがこれで…ということはどうでもよくて。こういう人たちを採用したら、5年後にこの組織はどうなるんだと。

今、新人と呼ばれている人が、5年後にはエースになっているとか。この人を成長させるためには、次の世代の人がいた方がいいんじゃないか…とかを考えながら、採用や組織作りをやっています。

短期業績だけを追うのであれば、新人を採用せずに経験者だけでやればいいと思うんです。でも、組織も時系列で生き物みたいに変わるんですよね。「人」にも時系列を掛け合わせて見ていますね。

ーーなるほど、人や組織の未来を見ているんですね。

みほさん
シンプルにいうと、ミライフのみんなは 「人の可能性を誰よりも信じている人たちの集まり」だと思うんです。スケさんもその代表だし、この前の月初ミーティング(ミライフでは毎月全員で1ヶ月の振り返りとフィードバック会を実施しています)でも、「みんな同じことを思ってるな」と改めて思いました。

スケさん
そうですよね。みんな、自分自身のことも、仲間に対しても、カスタマーに対しても企業に対しても、「変わる、成長する」って思っていますよね。

みほさん
みんな、その想いがベースにある。だから仲間が増えれば、組織はもっとよくなるし、事業としてもできることが増えることには完全アグリーなんだと思います。

スケさん
だから今、「人的資本経営」が注目されているけど…、ミライフではずっとやってきましたよね(笑)

みほさん
そうそう(笑)

                       

ーーミライフがミッションとして掲げる「働く、生きるを、HAPPYに」が実現できる世界はつくれると思いますか?

スケさん
難しい質問ですね…。どれくらい時間が掛かるか分かりませんが、チャレンジしたいですね。「働く、生きるを、HAPPYに」の解説で書いているんですけど、目の前の人を幸せにするってことを大事にしたいと思ってます。

リクルートは世界一の人材会社を作り、実績において世界で一番貢献する。社会に対する貢献の仕方なんだけど、僕らができるのは、目の前の人を幸せにすることだと思ってます。昨日より今日、一人でもHAPPYな人が増えたら、その世界に近づくというのは間違いないんじゃないかなと。

みほさん
難しいことだからこそミライフが掲げて取り組む価値があるし、「やれると信じている」に近いかなと。私は働くことで、人生を救われたタイプの人なんです。みんなにこの価値観を押し付けるつもりはないけど、どうせ働くならHAPPYがいいよねと、ずっと思っています。

スケさん
ミライフの社員が増えたら、「HAPPYな人が増える」というのが最近の気づきですね。

 

ーーそのためにミライフが今後やっていこうと思っていることがあれば教えてください。

スケさん
これまでは、エージェントが本業、そこにキャリア教育事業であるMCDができ、今度は組織向けにカルチャーデザイン事業を強化していきたいと思っています。

ミライフは性格のいい会社を目指してきて、思ったより時間がかかったけど、ようやくイメージに近い会社が出来てきたと思っています。なので、次は、自分たちだけじゃなく、もっと多くの会社を性格のいい会社にしていきたいし、そこで働く人たちの「働く、生きるを、HAPPYに」したいと思ってます。

また、この性格のいい会社のメソッドを体系化して、新バージョンの本にも出来たらと思っているので、多くの人に見てもらって、いい会社を作れるように広がっていったらいいなと思っています。

ーー他の会社も「性格のいい会社」になれますか?

スケさん
これは「なれる」と言い切ってよいですね。

2016年に性格のいい会社の本を書いた時は、構造を描くことができたけど実態がなかった。でも、創業から6年経ち、組織崩壊含めたくさんの経験をしてきたからこそ、どうすれば上手くいくか、何が外しちゃいけないポイントなのかというのを自信もって言えるようになってきた。ある意味、自分たちで実験できたという感じはしますね。

また、「いい人材が集まる、性格のいい会社」ってタイトルで本を書いたんだけど、本当にいい人材が集まってきてくれた。そういう意味でも、本に書いたメソッドは嘘じゃなかったなと。手前味噌ですが(笑)自信を持ってオススメできます。

みほさん
いろんな組織やフェーズの会社に身をおいてやってきた中で、事業や組織がより良くなるやり方について、再現性のあるフレームが体感値としてあります。

スケさん
これまで意図的に事業と組織を両輪で回してきたからこそ、上手くいくところ、そうではないところがわかってる。性格のいい会社の構造は、みんなが会社を辞めたい理由や、入社したい理由そのものなんです。僕らが日々エージェントをやっている中で、リアルに人のキャリアに向き合い続けているからこそ、現実に即したサービスが作れると思っています。

みほさん
わたしがノウハウを惜しみなく発信する理由は、それでいいキャリアが描ける、いい組織が作れる、いい事業をつくれる人が増える方が、世の中は良くなると思っているからです。自分一人でやれることには限りがあるから。ただ、情報だけを受け取っても、実際に実行できるかどうかは別問題だと思います。その実行部分も含めて私たちが関与できると、より良いのかなと思っています。

スケさん
本当にいい会社が増えたらいいなと、純粋に思いますね。

みほさん
自分の子どもたちが社会に出るときに、背中を押してあげたいし、応援したいなと本気で思っています。だから今、働いている私たち親世代が頑張りたいなと。

スケさん
あと、自分で会社を経営していて思うのは、採用ができないって致命的なんですよね。それを考えると、採用や人にフォーカスして、優秀な人が働きたいと集まってくるような会社が作れることは、夢のような話じゃないかと思うんです。これからの時代、経営に求められるのは、「働きがいと働きやすさ」を意図的に作っていく”カルチャーデザイン”だと思っています。性格のいい会社にはいい人材が集まってきて、いい人材がリテンションでき、事業も成長させていけると確信しています。その作り方みたいなことをお伝えできたらいいなと思っています。

みほさん
最終的には、「あの会社は、ミライフが組織作りに関わっているからいい会社だね」と思われる世界にまで辿り着きたいです。

スケさん
そうですね。その会社には僕らが自分たちで人を紹介しますもんね。いい会社を一緒に増やしていきたいですね。

みほさん
自分たちもいい会社でありたいし、世の中にもいい会社を増やして、「働く、生きるを、HAPPYに」の人が増えるというのはいいですね。やりたいですね、ちょっとずつでも確実に。

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ーー長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

ミライフで取り組んできたノウハウをベースに、ワークショップや研修、人事・組織コンサルティングなども行っておりますので、お気軽にご相談いただければ嬉しいです。

 

ミライフではビジョン、ミッションに共感し、同じベクトルで仕事が出来る仲間を募集しています。
https://www.miraif.co.jp/recruit

 

ライタークレジット:古谷沙緒里
フリーランス・ライター。2022年5月よりミライフでリサーチャーを担当。リクルートエージェントで14年半キャリアアドバイザーを経験。2021年10月に独立し、現在は採用支援やアウトドアメディアで取材や執筆を行う。

 

ミライフは100%個人起点のエージェントです。

個人の状況やお気持ちに合わせて、柔軟に面談をしていきますので、安心してご相談ください。