人間関係に振り回されないための「気持ちの整え方」
「合わない人がいるけれど、仕事だから仲良くしなきゃ」
「チームの空気を壊したくないから、とにかく波風を立てないように」
そんなふうに気をつかい続けているうちに、気づけば心が疲れてしまった。そんな経験をしたことがある人は、決して少なくありません。
たしかに、職場での人間関係は仕事を円滑に進めるうえで大切です。ただ、「良好でなければいけない」「全員と仲良くしなければいけない」という思い込みが強くなるほど、かえって自分本来のパフォーマンスが発揮できなくなることもあります。
人間関係は仕事の一部ではあるけれど、すべてではありません。少し距離を置いたり、視点を変えたりするだけで、心に余白が戻ってくることがあります。
今回は、ミライフのキャリアデザイナー・松井に「人間関係のストレスをやわらげる心の整え方」について聞きました。
専門家の視点:Career Designer 松井のアドバイス
ミライフの松井は、悩む人に寄り添いながらこう語ります。
「職場にはさまざまなタイプの人がいるため、合わない相手がいてつらく感じるのはごく自然なことです。
ただ、受け止め方や距離の置き方を少し見直してみると、相手に振り回されにくくなるだけでなく、自分の視野が広がり、より成長しやすい状態にもつながります」

松井 郁也
Career Designer
大阪大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。金融機関のM&Aに伴うシステム統合のプロジェクトに従事したのちに、IT系のセールスコンサルタントに転身。大手SaaS企業をメインクライアントとして、HRTechのIS戦略立案や、教育関連のICT推進、業務改善、The Model型組織の実行など幅広いプロジェクトを経験。
その後、若手ハイエンド層向けにキャリア支援を行うHRスタートアップに転職。両面エージェントとして、職種としては営業・コンサル・企画・マーケティング・事務職など、業界としてはIT、人材、コンサル、広告、M&A業界など、幅広い領域で支援を行う。
2,000人以上とのキャリア面談を行うなかで、より自分の理想の支援スタイルに向き合いたいと考えるようになり、ミライフに入社。
同じ価値観の人だけが集まる環境で仕事をしていると、視野が広がるチャンスは限られてしまいます。
そこに自分と異なる感性を持つ人がいるからこそ、新しい考え方に触れ、成長のきっかけが生まれるのだといいます。
「人間関係に疲れるのは、自分と違うタイプの人と関わっているからこそ起きる自然な反応なんです。それは『自分以外の価値観』と真剣に向き合えている証拠でもあるんですよ」
「合わない」と感じる相手の中にも、学びがある
私たちはつい、「合わない人=避けたい存在」と考えてしまいがちです。しかし、その「合わなさ」の裏には、実は自分の可能性を広げるヒントが隠れていることがあります。
例えば、
- 自分が感覚的に動くタイプで、論理的な同僚に苛立つなら
→「考えを整理して伝える力」を磨くきっかけになるかもしれません。 - 論理重視の人が、感情豊かな同僚に戸惑うなら
→「相手の気持ちを汲み取る力」を育てる機会かもしれません。
「合わない人がいるとストレスを感じますが、その分、自分とは違う視点や考え方に触れる機会が増えることもあります。そうした違いに出会うことで、自分の見方が少し広がり、いろいろなタイプの人と関わるうえでのヒントが得られることもあります」
無理に仲良くしなくていい。でも、関わる意味はある
職場で大切なのは、全員と仲良くすることではありません。ポイントは「お互いが気持ちよく働ける距離感」を保つこと。
「『相手を変えよう』と思うほど関係はこじれます。まずは『この人はこういう背景を持っているのかもしれない』と想像してみてください」
例えば、
- 指摘が多い上司:責任のプレッシャーを抱えているのかもしれない
- 距離を置く同僚:実は慎重に接するタイプなのかもしれない
背景を想像するだけで、相手の行動が「攻撃」ではなく「性質」に見えてきて、心が少しやわらぎます。
「人間関係は鏡のようなもの。相手を通して、自分が何を大切にしているのかが見えてきます。合わない人がいるということは、自分が独自の感性を持っているということ。その違いを受け入れることで、キャリアの幅はどんどん広がります」
人間関係をコントロールできれば、どこでも活躍できる
人間関係のストレスは、環境を変えても完全には消えません。価値観・育った環境・考え方が違う人は、必ずどの職場にも存在するからです。つまり、悩みは「環境」ではなく「向き合い方」の問題であることが多いのです。
コントロールと言っても、相手を変えることではありません。
・自分の距離感を調整する
・相手の背景を理解する
・必要以上に自分を責めない
・「ここまでは関わる」「ここから先は踏み込まない」と線引きする
こうした「自分を整える力」が、人間関係を安定させるカギになります。この力を身につけると、職場が変わっても揺らぎません。むしろどのチームでも、安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
最終的には、「すべては自分次第」だと気づく
人間関係をラクにするうえで大切なのは、相手そのものを変えようとするのではなく、自分の受け止め方や距離感を少し調整してみることです。
人間関係のストレスが強いときは、どうしても「もっと分かってほしい」「言い方を変えてほしい」と、相手への期待が大きくなりがちです。
もちろん相手に問題がある場合もありますが、人の性格や価値観を変えることはできません。
だからこそ、「どのくらい距離を取るか」「どう受け止めるか」「どこまで関わるか」といった自分側の選択が、結果的に日々の働きやすさを左右します。
この感覚が身についてくると、相手に振り回されにくくなり、自分のペースで仕事がしやすくなるでしょう。
最終的には、人間関係においてコントロールできる部分は「自分の捉え方と行動」であり、その選び方次第で働き心地が大きく変わることに気づけるようになります。
あなたのキャリアを育ててくれるのは、多様な人との出会い
職場にはさまざまな価値観や背景を持つ人がいるため、合わない相手がいるのはごく普通のこと。無理に仲良くなる必要も、深く分かり合う必要もありません。
ただ、異なるタイプの人と関わる中で、
・相手との適切な距離感をつかむ
・違いに対する自分の反応を理解する
・状況に合わせて接し方を選べる
といった力が少しずつ身についていきます。これらはどの職場でも役立つスキルで、結果的に働きやすさにつながるものです。
気持ちの整え方を身につけることで、相手に振り回されにくくなり、自分のペースで仕事がしやすくなるでしょう。
それでも、どうしても違和感が続くときは、「環境を見直す」という選択肢もあるかもしれません。
迷ったときには、一度キャリアの専門家に相談してみてください。あなたに合った環境はどういう場所なのか、一緒に考えるお手伝いをさせていただきます。
