30代は収入よりも時間?幸福度を上げるキャリアシフト
「このまま働き続けて、本当に大丈夫なのだろうか」。そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか?特に30代に入ると、仕事の経験や収入はある程度安定してきたものの、「この働き方を年齢を重ねても続けられるのか」という疑問が心の奥に芽生えてきます。
ある程度の年収を稼ぎ、周囲からは順調に見えていても、本人は「働きすぎて自分の時間がない」「3年後も今と同じ状態だったらどうしよう」と焦りを抱えているケースは少なくありません。土日も仕事に追われ、平日は残業続き。休日にゆっくりできても、心のどこかで「また明日から同じ日々が始まる」と憂鬱になる。そんなサイクルを繰り返していると、キャリアそのものが幸せに結びついていない感覚に陥ってしまうのです。
実際、近年の調査では「30代ビジネスパーソンの約7割が、将来のキャリアに不安を抱いている」というデータ(※)もあります。
※【調査】20代・30代正社員の7割が「将来のキャリア」に不安(株式会社ジェイック)
収入はある程度得られているのに、なぜ幸福度が上がらないのか。そのカギは、「時間」と「働き方の選び方」にあります。
幸福度を下げる「働きすぎの罠」
3年後の自分を思い描いたときに不安を感じる背景には、いくつかの要因があります。
1.収入=安心という思い込み
「収入が増えれば不安は消える」と思い込んでいる人は多いものです。しかし実際には、収入が上がっても働く時間が増えてしまったり、責任が重くなったりして、かえって幸福度が下がることがあります。仮に年収600万円から700万円に上がったとしても、自由に使える時間が減れば満足感は得られにくいでしょう。
2.年齢と体力の変化
20代のころは多少無理をしても乗り切れた仕事量も、30代になると体の疲れが残りやすくなります。「このペースを40代以降も続けられるのか」という現実的な不安が大きくなり、心身のバランスを崩すきっかけにもなります。
3.成長実感の欠如
働く時間が長いにも関わらず、「自分が成長していない」「ただこなしているだけ」という感覚が積み重なると、モチベーションが低下します。やりがいを感じられないまま年数を重ねることは、大きなキャリア不安につながります。
幸福度研究の分野でも、「収入が一定水準を超えると、それ以上の増加は幸福感に直結しにくい」という結果が示されています。つまり、生活に必要な収入を確保したうえで「時間のゆとり」や「自分らしい働き方」をどう得るかが、これからのキャリアにおいて最重要テーマとなるのです。
専門家の視点:ミライフ Executive Career Designer 菅野隼人のアドバイス
ミライフの菅野は、多くのハードワーカーの相談を受けてきただけではなく、自身もハードワークをこなしていた時期がありました。その経験から、次のように語ります。
「今の働き方に不安を抱える方の多くは、頑張ればなんとかなる、という20代からの延長線で働き続けています。でも、30代以降は体力やライフスタイルも変化します。そこで大事なのは、収入だけでなく『幸福度をどう上げるか』という視点でキャリアを考えることです。」

菅野 隼人
マーケティング担当/Executive Career Designer
京都大学教育学部にて臨床心理学・認知心理学を学んだのち、新卒で株式会社ポケモンに入社後、7社10職種を経験。
・デジタルマーケター向けSaaSのカスタマーサクセス
・VR・MR領域のイベント企画・事業開発
・法人営業向けSaaSのマーケティングマネージャー・ビジネス部門責任者
など複数の業界・業種で実績を出す。
ミライフでは人事を含む複数の職種と、数名~数百名と幅広い規模の企業での就業経験、さらに業界・業種をまたぐ転職経験を活かした「異色キャリアデザイナー」として活躍中。
では具体的にどうすればよいのでしょうか。菅野は、以下の3つのステップを提案しています。
1.時間の使い方を可視化する
「自分は何にどれだけ時間を使っているか」を記録してみること。意外と無駄な残業や習慣的な作業に多くの時間を取られていることに気づく人は多いといいます。
2.価値観を棚卸しする
「自分にとって幸せとは何か」を改めて考えることが重要です。収入よりも大切にしたいのは家族との時間か、趣味の時間か、あるいはスキルを磨く余裕か。価値観の優先順位を明確にすると、どのようなキャリアシフトが必要か見えてきます。
3.小さな働き方改革を試す
いきなり転職するのではなく、まずは「定時退社の日を作る」「仕事のやり方を見直す」といった小さな改善から始めること。こうした積み重ねが、将来の大きなキャリアチェンジにつながります。
■ ミライフにご相談いただいた方のケーススタディ(一部内容を変えています)
Aさんの場合
年収650万円で残業が多く、常に疲れていたAさんは、まず「残業時間を減らすこと」を意識しました。勇気を出して上司と相談し、週1日は定時で帰るルールを実践。その時間を自己投資や家族との時間に充てるようになったところ、仕事へのモチベーションも上がり、半年後には成果も改善。収入は変わらなくても幸福度が大幅に向上しました。
Bさんの場合
年収800万円近い収入を得ているが、職場は子育てにあまり理解がない風土。もうすぐ小学校にあがる子どもがいて、教育環境を考え郊外に移住したばかり。今までは仕事一筋だったが、これからは家族の人生も大事にしながら働きたいと考え、年収にこだわらず労働環境を重視し、視野を広げて転職活動を開始。結果的には、給与を大きく下げることなく家族との時間を確保できる、自分らしく働ける職場に出会いました。
このように「収入」だけに目を向けるのではなく、時間のゆとりをつくる小さな一歩や、大事なものは何かを立ち止まって問うてみることこそが、幸福度を上げるキャリアシフトの始まりです。
まとめと次の一歩
3年後の自分を想像したときに、ライフスタイルの変化などをふまえて「今のままでは続けられるのかな?」と不安を感じるのは自然なことです。むしろ、その感覚は新しい働き方を見つけるチャンスです。
大切なのは、収入の多寡よりも「自分にとっての幸福度」を軸にキャリアを考えること。時間をどう使いたいのか、どんな生活を送りたいのかを明確にすることで、自分らしい働き方の道筋が見えてきます。
今日からできる3つのアクション
1.1週間、自分の時間の使い方を記録してみる
2.「今の働き方を3年後も続けたいか?」と自問してみる
3.信頼できるキャリアアドバイザーに相談してみる
もしあなたが「このままでは疲れ切ってしまう」「3年後の自分に自信を持てない」と感じているなら、一人で抱え込む必要はありません。
私たちは、あなたが「収入よりも大切な時間」を取り戻し、より幸福度の高いキャリアを歩めるよう全力でサポートします。ぜひ一度、ご相談ください。