「最近、自分の考えと会社の方針が合わなくなってきた気がする」
「入社したときと、空気が変わってしまった気がする」
そんなふうに感じたことはありませんか。以前はワクワクしながら働いていたのに、今はどこかしっくりこない。理由をはっきり説明できないまま、違和感だけが残る…。そんな状態に戸惑っている人も多いかもしれません。
中には、「自分が成長できていないから?」「環境に適応できない自分が悪いのでは?」と、自分を責めてしまう人もいます。
けれど、それは決してあなたのせいではありません。市場も人も技術もめまぐるしく変化していく中で、会社が変わっていくのはごく自然なことです。むしろ、何年も同じ状態のままでいられる会社のほうが珍しいでしょう。
大切なのは、その変化に直面したときに、 「自分はどう感じているのか」「これからどう向き合っていきたいのか」を理解することです。
本記事では、キャリアデザイナーの視点から、会社との価値観のズレを感じたときに大切にしたい考え方を整理しています。
ミライフのキャリアデザイナー・市川は、穏やかな口調でこう話します。
「会社が変わるのは当たり前なんです。人が成長するように、組織もフェーズごとに変わっていきます。だからこそ、無理に合わせようとせず、まずは組織の構造や状況を冷静に捉えながら、『今の自分が何を大事にしているか』を見つめ直してほしいですね」
市川 待子
Career Designer
大学卒業後、人材総合サービス企業に入社。法人営業担当として、IT・WEBサービス、ゲーム、旅行、化粧品の業界などをメインに担当。その後大手通信系グループ企業にて人事総務経理などのバックオフィス業務を担当したのち、2018年より人材総合サービス企業にて人事として採用・研修に従事。
30歳の節目を迎え「今後はどういう人生を歩めたら自分にとって良いか?」を見つめ直し、個人起点にたった中長期的な対人支援がしたい、経営者との距離が近い組織でHRの領域を深めていきたいと想いミライフに参画。現在はCareerDesignerとして転職・採用支援に従事。GCS認定コーチ。一児の母。
市川は、キャリア相談の現場で「会社の変化についていけない」「経営方針に共感できなくなった」といった声を数多く聞いてきました。しかし、その違和感を否定する必要はないといいます。
「違和感は、あなたの価値観が明確になってきたサインです。会社が変わったからモヤモヤしているというより、『自分はこうありたい』という軸が育ってきたからこそ、ズレに気づけるんです」
会社が変わるときに多くの人が感じるのが、「組織の方向性」と「個人の価値観」のズレです。
市川のもとに寄せられる相談には、いくつかのパターンがあります。
■ パターン①:挑戦を歓迎していた会社が、慎重で堅実な組織に変わった
入社当初は、「まずやってみよう」「失敗から学ぼう」という空気があり、個人の裁量も大きく、新しい提案も歓迎されていた。
ところが、組織が大きくなるにつれて、
・決裁フローが増える
・前例のない取り組みが通りにくくなる
・スピードよりもリスク管理が優先される
そんな変化が起こります。
この変化自体は、会社が成長している証でもあります。一方で、「挑戦すること」や「自分で考えて動くこと」にやりがいを感じていた人ほど、「ここで自分は何を発揮できるんだろう」と戸惑いを感じやすくなります。
■ パターン②:「人」や「想い」より、「数字」が会話の中心になった
以前は、「誰のためにやるのか」「どんな価値を届けたいのか」といった話が自然に交わされていたのに、いつの間にか会話の中心がKPIや売上、効率の話に変わっていく。
もちろん、ビジネスとして数字は欠かせません。ただ、仕事に意味や納得感を求めてきた人にとっては、「数字を出すこと自体が目的になっているように感じる」という違和感につながることもあります。
「成果は出しているはずなのに、どこか満たされない」そんな感覚を覚える人も少なくありません。
■ パターン③:フラットだった組織が、トップダウン型になった
創業期や少人数の頃は、役職に関係なく意見が言えていた。現場の声がすぐに意思決定に反映されていた。しかし、組織が拡大するにつれて、意思決定が一部の層に集中し、現場は「決まったことを実行する役割」に近づいていく…。
その結果、「自分の意見が求められていない気がする」「考えるより、従うことが増えた」と感じるようになります。主体的に考え、関わることにやりがいを感じていた人ほど、この変化に息苦しさを覚えやすいようです。
市川は、こうしたズレについて次のように話します。
「人も組織も、それぞれ違うスピードと方向で変化します。特に急成長中の会社や組織の場合、そのフェーズによって求められる経験や、価値発揮しやすいか否かも変わってきます。そんな中で、あなたの価値観が変わるのも、とても自然なこと。ズレを感じたら、『自分はどうありたいのか』を考える合図なんです。
ズレを感じること自体が問題なのではありません。それに気づいたとき、どう向き合うかが大切なのです」
Q1.「会社が変わった」と感じたとき、最初にやるべきことは?
A. まずは、感情ではなく起きている変化を事実として整理することです。「合わない」「嫌だ」と感じたままにせず、何がどう変わったのかを言葉にしてみてください。
たとえば、
「意思決定が現場から離れた」
「評価基準が明確に数字寄りになった」
「挑戦より安定が優先されるようになった」
事実として整理できると、漠然とした不安が少し落ち着き、冷静に考えられるようになります。
Q2. モヤモヤの正体が分からないときは、どうすればいいですか?
A. 次に、「どこに引っかかっているのか」を掘り下げてみましょう。
・挑戦できないことが不満なのか
・仕事の意味を感じづらくなったことがつらいのか
・自分の意見が尊重されない感覚がしんどいのか
違和感の奥には、「本当は自分はこんな風に働きたい」「これを大切にしたい」という価値観があります。モヤモヤを言葉にすることは、自分自身を理解するプロセスでもあります。
Q3. ズレを感じたら、やっぱり転職を考えるべきでしょうか?
A. 必ずしも、すぐに結論を出す必要はありません。大切なのは、「無理に合わせる」「すぐに離れる」といった極論で考えないことです。
・今の会社で、関わり方を変えられないか
・役割や環境を調整できる余地はあるか
・社外に目を向けたとき、どんな環境ならしっくりきそうか
ズレや違和感は、「今の自分に合う場所」を見つけるための重要なヒントになります。一人で整理が難しければ、キャリアのプロに相談するのも有効です。
会社が変わっていくのは自然なことです。そして、あなた自身の価値観が変化していくのも、同じように自然なこと。
会社との間にズレを感じ始めたとき、それはあなたが自分自身をより深く理解し始めているサインとも言えます。無理に合わせる必要はありません。その違和感の中にこそ、これからのキャリアを考えるヒントが隠れています。
「会社は変化していくのが当たり前です。だからこそ、自分なりの軸を持つことが大事になります。その軸があれば、たとえ会社との価値観のズレを感じたとしても、状況に流されることなく、自分にとって何が最適かを冷静に判断できるようになります」
会社の変化にモヤモヤを感じたら、それはキャリアを見つめ直すタイミング。
ただ、その違和感をひとりで抱え込んでいると、「気のせいかもしれない」「もう少し頑張るべきなのかな」と判断が曖昧になり、苦しくなってしまうことも少なくありません。
そんなときは、今感じている変化を、キャリアや組織を理解しているプロの視点から、客観的かつ構造的に整理してもらうことで、適切に捉えられることがあります。
それは、会社のフェーズや方針によるものなのか。評価や役割の変化が影響しているのか。それとも、あなた自身の価値観が変わり始めているサインなのか。第三者の視点が加わることで、「何となくの違和感」が、「これから自分が大切にしたい軸」へと、少しずつ言葉になっていくことも少なくありません。
今感じている違和感をそのままにしないことが、これからのキャリアを自分で選んでいくための第一歩です。もし「このモヤモヤを一度、整理してみたい」と感じたら、ぜひ一度ご相談くださいね。